女子1人ニューヨーク放浪記③〜ニューヨーク近代美術館(MoMA)編・写真多数〜

女子1人ニューヨーク放浪記③〜ニューヨーク近代美術館(MoMA)編・写真多数〜

ニューヨークは現代アートの聖地です。
街中にたくさんのギャラリーやミュージアムが立ち並んでいます。
中でも外せないのがニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art, New York)、通称MoMA(モマ)です。

正直ですね、MoMAは鑑賞するのに疲れました。
MoMAに行く前は甘いものたくさん補給した方がいいですよ^^;
大量の一流アート作品が次から次へとやってくるアトラクションのような場所なので、情報量が多くてしっかり見るとヘトヘトになってしまうのです。
作品から発せられるエネルギーもすごいですしね!
美術の教科書に載っていた作品が目の前にしたときは鳥肌が立ちました。
フラッシュ撮影以外は基本撮影OKなのでたくさん写真をとりましたよ〜!
MoMaの見どころをまとめました。

目次

アンディー・ウォーフォール「Campbell’s Soup Cans(キャンベルのスープ缶)」

Campbell's Soup Cans

出ました!商業コンテンツを芸術に変えたアンディー・ウォーフォール。
有名なスープ缶の絵もMoMAにございます。
「アートは選ばれた少数のためだけにあるべきだとは思いません、アメリカ国民の大衆のためであるべき」とウォーフォールはインタビューに答えています。
味の違う大量消費の象徴のスープ缶が32枚均等に並べられていますが、この作品は実際に大量消費されました。
普通におしゃれなステーキハウスの壁にレプリカが飾られてそうですよね。
というか、普段食べてるスープ缶がアートになってる、アートを食べてる??と考えると面白い。

スープ缶は均一に繰り返し繰り返し並んでいます。
少しずつ違うけど、毎日、毎日同じことの繰り返しの日常…
人生とはまるでこの絵のようなものかもしれませぬ^^

エド・ルシェ「OOF」

edward ruscha oof
写真が斜めからですみません(汗)
OOF(お〜ふ)、アメリカのオノマトペ、つまり日本語で「う〜〜ん」といった唸りの発音のタイポグラフィーのアート作品です。
何に憤りを感じて落胆しているのでしょうか。
これが絵画なの?現代アートは意味がわから〜ん!というのがぶっちゃけた意見だと思います。

でもね、美術の評論家はこの余白は計算された絵だと絶賛しております。
たった3文字だけどこのインパクト!
商業デザイナーのエド・ルシェは1960年代にこのようなモダンな手法を知っていたのです。

落ち込んでるんだけど、コバルトブルーの背景に明るいイエローの太いタイポでどこかコミカルに感じます。
この作品を前にしたとき、色んな人がそれぞれの気持ちと発音で「OOF」という音が脳内に流れたと思います。
そう考えるとシンプルで深い「名画」ですよね。

ロイ・リキテンスタイン「Girl with Ball」

ロイ・リキテンスタイン Girl with Ball
美術の教科書に載っていましたね〜ロイ・リキテンスタインの「泣く女」
今回、掲載した「Girl with Ball」はあるホテルの実写ポスターからそのまま取り入れたオマージュだそうです。
アメコミ風のリキテンスタインの絵は誰が見ても彼の作品とわかります。
リキテンスタインはお色気コミック技法をアートにしました。
その結果、実写の女性のセックスアピールは薄れポップなおもちゃのような印象に!
しかし、鮮やかな配色と太い線で簡略化されているからこそ、女性の肉肉しい曲線がかえって強調されていると言えます。

ロイ・リキテンスタイン「Drowning Girl」

ロイ・リキテンスタイン Drowning Girl
ちなみにこちらもロイ・リキテンスタインのDrowning Girl。
女性が渦に巻き込まれて溺れてます。
上のテキストを私の拙い英語力で翻訳すると
「もういいの、私は彼を呼ぶより先に沈むわ」
うーん、悲劇のヒロイン?演歌?時代劇?
自己犠牲な女性の象徴(一面)をトリミングした感じがします。

ジャクソン・ポロック「One: Number 31, 1950」

ジャクソン・ポロック One: Number 31, 1950
どひゃ〜これぞ現代アート!5mのカンバスに描かれているので大迫力です。
私はポロックが絵を描いているところを想像しちゃいました。
上からクレーンにでもぶら下がりながらペンキ缶に穴を開けて撒き散らしたのでしょうか。
めちゃくちゃ激しく動きがら情熱的に踊りながら描いたかw。
ペンキの動きからスピードを感じますよね。
こういう技法、日本の芸能人の絵画作品で見かけませんか?もしやポロックに影響されたのか?笑
うん、なんか、すげーカオス!!ぐちゃぐちゃ!!
なんだけれども、ぐちゃぐちゃなものとぐちゃぐちゃなものが合わさって一つのまとまり感ありますよね。
ぐちゃぐちゃであることがこの絵の世界のルールみたいな。

ダークな配色からしてハピネスな感情ではないのは確かですが、ポロックは何を思ってこの絵を描いたんでしょうね。

草間弥生「Accumulation No. 1」

草間弥生 Accumulation No. 1
世界でこれほど成功している日本の現代アーティストは他にいないんじゃないかな?
水玉だけじゃない!前衛芸術家、草間弥生の作品もしっかり展示されています。
この異質な存在感大のソファー、さすがですよね。

私がこのソファーを見たときはインパクトが凄すぎて純粋無垢な少女だったので、全くソファーの突起が男性器であることに気づかなかったんですよ(笑)
今、こうして改めて見てみて、驚いています。これは、、、ペニスのソファ、、、、
卑猥さを感じないくらいこのソファーは物体として美しかったということです。。
つまり、ペニスの塊は芸術に昇華したのです。
しかし、このソファーに座ったときの感覚を想像してみてください、、、
おええええええええええorz
変態じゃなかったら超絶気持ち悪いと思います。
ここまで人の感情を揺さぶるこの作品は正に傑作ですね。

1960年代に、女性アーティストが露骨に性的なイメージを家事や日常で使う家庭用品に盛り込んだ作品というのはかなりセンセーショナルでした。

私は草間弥生先生のドキュメント映画を見ましたが、当時からニューヨークに住んでいて全裸でパフォーマンスをしたりと、ぶっ飛んでました。
でも、作品に対する真剣さと妥協を許さないプロフェッショナルな姿勢に私はすごく感動しました。
草間弥生が好きな人はぜひ見てみてください。
笑えるし、波乱万丈な人生と芸術と、大変面白い映画です。

フィンセント・ファン・ゴッホ「The Starry Night(星月夜)」

 フィンセント・ファン・ゴッホ The Starry Night
私はゴッホは色合いと筆のタッチが好きです。
MoMAで本物のThe Starry Night(星月夜)を見たときは本当に嬉しかったです。
空が歪んでいて暗いけれど月や星の存在に救われるような夢の中のような独特な世界観の絵ですよね。
この絵は精神的な問題で入院しているときに窓辺から見える風景にインスピレーションを得て描いた作品だそうです。

私が同じ風景を見て絵を描いても絶対にこんな世界観を出せないと思うんですよ。
こんな風に日常の風景を捉えることができる感性が素敵ですよね。

フェルナン・レジェ「Three Women」

フェルナン・レジェ Three Women
よく知らなかったけど、ビビッと私のアンテナが反応したのがこちらの絵です。
3人の裸婦が部屋でくつろいでいます。
裸婦の身体がパーツっぽいですよね。版画の絵のような。
作者のレジェはアメリカ軍のエンジアとして従軍していたときに兵器の機能美に魅了されて、それが作品に出ているそうです。
顔の表情がなんとも言えなく良いですよね。
周りの幾何学な感じに不思議と後ろの2人の女性が溶け込んでいます。
右側に猫が隠れているのもポイント。
「これはなんだろう?」といつまでも見ていられる絵だと思います。
歯医者の待合室とかに飾って欲しいです、どういう例えやねん、、、

アンリ・ルソー「The Sleeping Gypsy(眠るジプシー女)」

アンリ・ルソー 眠るジプシー女
とてもファンタジーでエキゾチックな世界観を感じる絵です。
こういう系も私は好きですね。
砂漠で旅の途中の黒人女性が力つきで寝ています。
女性がはおっている布が虹色で素敵です。アフリカンカラーなのかな。
そして側のライオンですが、このライオンは女性を襲うわけではなく様子を伺っています。
何かが起こる前の雰囲気です。
月明かりの夜空が神聖なムードを出しています。

私はこの絵を見てタロットカードの「力」を思い出しました。
ライオンを女性が知性で手懐けている絵のカードです。
直接的ではないですが、この絵を見てカカア天下というか女性の存在自体がライオンを手懐けている感じがしませんか?

ジョルジュ・スーラ「Evening, Honfleur」

ジョルジュ・スーラ Evening, Honfleur
こちらは微細な点描画で有名なスーラの作品です。
この絵を見ると灰色がかった空も一色ではなくて色のスペクトラム?(自分でも何を言っているのかよくわかりませんがw)が自然界にあることを思い出せます。
この点の色は25色でスーラなりの緻密な理論の元、美しさを体現しています。
そして注目すべきは、このフレームです。額縁にも絵画同様の点描画が施されています。
スーラはこの手法で絵画と現実世界との境目の曖昧さを演出しました。
上の方は明るく、グラデーションの色合いが絵とマッチして一つの作品になっています。
作品の光のことを、スーラは「灰色のほこり」と説明したそうです。

ロベール・ドローネー「Simultaneous Contrasts: Sun and Moon(同時のコントラスト:太陽と星)」

ロベール・ドローネー Simultaneous Contrasts: Sun and Moon
その作品のタイトルの通り、色のコントラストのメソッドが生き生きと美しい作品です。
ドローネの作品は豊かな色のハーモニーが特徴的です。
太陽の暖色と月の寒色が自然と溶け込んでいます。
表裏一体、2つの世界の融合を感じますね。

こんな素敵な絵が家にあったらと考えると、見てるだけでパワーを貰えそうです!

マルク・シャガール「Simultaneous Contrasts: I and the Village(私と村)」

マルク・シャガール I and the Village
強烈な絵ですね!
目線とか中心の円とか奥行きとか、色々考えられている構図です。
2人1組でパートナーシップを感じます。
山羊とおじさんは絶対心が通じ合ってるでしょ^^
山羊が神々しすぎませんか??
農夫の顔色はかなり悪いですが。。。
2人の黒目と白目が反対になっているのがおもしろいです。
農夫が持っている魔法の木が素敵です。
シャガールはそんなのどかで美しい村の様子の本質的な部分を切り取って融合させたのかもしれません。

ジーノ・セヴェリーニ「Dynamic Hieroglyphic of the Bal Tabarin」


す、すごいキュービック感!
貴族が踊っていますね。祭り?
と思ったら、パリのナイトクラブ「バル タンバリン」で踊っている男女を描いた作品だそうです。
そう言われると、カクカクした感じがミラーボールの光のようです。
女性の洋服にはスパンコールが施され、コラージュの技法が使われています。
後ろの方には色んな国の旗が描かれており、ナショナリズムの感情を表しているようです。

ジェームズ・アンソール「Masks Confronting Death」

ジェームズ・アンソール Masks Confronting Death
アンソールの作品にはしばし骸骨や仮面が登場します。
実家は観光局向けのお土産屋を営んでおり、カーニバルの仮面を取り扱っていたそうです。
中央の白い衣服に包まれた骸骨は、まーつまり死んでおりますね。
でも、どこか明るくてポジティブな雰囲気の絵です。
仮面の非現実的な感じ、豪華な装飾、この絵を見てると死に対してポジティブに受け入れらるような気がします。

アンリ・マティス「Study for “Luxe, calme et volupté”」

アンリ・マティス Study for “Luxe, calme et volupté”
輪郭・影が濃いブルーで描かれて明るい色合いが素敵な絵です。
この絵は南フランスで家族や友人と過ごしているときに描かれたそうです。
フランスの優雅なバカンスでしょうか。
水面に映る太陽の光が筆のタッチで空にまで映っているように感じます。
マティスはとても楽しいひと時を過ごしたんでしょうね^^

ジャスパー・ジョーンズ「Flag(旗)」

ジャスパー・ジョーンズ Flag
ざ!アメリカ!な作品です。
カンバスには新聞がコラージュされており、上からペイントされています。
そのため、薄っすら新聞記事の文字が見えるのです。
この絵は旗そのものでもあるし、旗の絵とも解釈でき、当時は挑戦的な作品だったようです。

ジャスパー・ジョーンズ Green Target
こちらは同氏の「Green Target」という作品。
まるーく緑が何層も塗られています。
私は吸い込まれそうな魅了を感じました。

ルイーズ・ブルジョワ「Quarantania I」

皆様、六本木ヒルズの前にある蜘蛛のオブジェ「ママン」はご覧になったことございますか?
私も森美術館に行くときにママンを発見し、すげえ蜘蛛だなと素通りしました。
六本木ヒルズ 蜘蛛 ママン ルイーズ・ブルジョワ
Googleストリートビューで遊びに行ってみました^^
このママンは世界9カ国に展示されているみたいですよ。
このママンを作ったのがルイーズ・ブルジョワ、フランスの女流彫刻家なのです。

この「ママン」と同様、数あるMomaの展示品の中で、私が「なんだか不思議で気になる〜」と写真に撮ってしまったのが「Quarantania I」でした。
ルイーズ・ブルジョワ Quarantania I
この長細〜い不思議な物体はやはり人を擬人化したものだそうです。
中央の1人を中心に4人が何かを囁き合っているみたいです。
距離が近いので親密な家族や友人、或いは自分を守っている守護霊のような関係でしょうか。
ブルジョワはフランスからアメリカに渡り、ホームシックを感じた時期があったそうです。
どこへ行っても1人ではない、あなたを大切に思う人の存在を思い出させてくれる素敵な彫刻です。

ドナルド・ジャッド「Untitled」

ドナルド・ジャッド Donald Judd Moma
突然現れた巨大なカラーボックス、これもアート?
周囲はポジティブなエネルギーで溢れていた気がします。
元は抽象主義の画家だったようですが、その表現が2次元から3次元に飛び出したのがジャッドの作品です。
美術の世界で3次元といえば彫刻や焼き物でしょうか。
ではこの金属フレームと板のカラーボックスは?
これまでのジャンルに囚われない新しい3次元のアート作品の礎を築いたのがジャッドなのです。
カラフルな色使いも斬新です。

マックス・エルンスト「Napoleon in the Wilderness(荒野のナポレオン)」

マックス・エルンスト荒野のナポレオン(Max Ernst)
やだ〜ちょっとちょっと、この絵はおもしろいでしょ!!
どういう状況?笑
タイトルにある皇帝ナポレオンは右の人?
いやいや、右はセクシーな女性ですぞ、なんか気持ち悪いサックスみたいなの持ってる…

実はこの絵のナポレオンは左側のブリキ人形なのです。
エルンストは「この絵は勝利したナポレオンではなく、敗北し亡命中のナポレオン」と語っています。
ほんと、落ちぶれて目はきょどってるけどかろうじてカッコはつけている感じがしますよね。

こんなストーリーを想像させるおもしろい絵が描けるエルンストは素晴らしいアーティストですね。

技術的なお話をすると下地に「デカルコマニア」という技法を使いました。
これは紙と紙、またはガラスなどの物体で絵具をぐちゃっと挟み、開く偶然の産物的に描く手法で、要するにペチャっと潰れた表現です。
中心のポールと下の色鮮やかな大地がそれですね。

ロベルト・マッタ「The Vertigo of Eros(エロスのめまい)」

ロベルト・マッタRoberto Matta The Vertigo of Eros
なんちゅー官能的でロマンティックなタイトル!
当時見たときは知らなかったけど、今知って興奮しています(笑)

この絵はマッタの精神状態を投影した架空の風景なのだとか。
引っ掻いたような直感的、偶発的な表現や立体的な部分もあり絵の奥行きを感じます。
走馬灯ってこんなふうに見えるのかな、なんて想像しました。

マッタの絵は目に見えるものを表現しませんが、ファンタジーの世界でもありません。
確かに今ここにある精神の世界を捉えているのです。
この絵は宇宙の広さと精神の広大さを示唆します。
神秘的でスピリチュアルな世界観ですね。

Momaの説明では愛の神エロスは死の象徴タナトスに常に挑戦され、めまいを起こしているとありました。
光と闇、精神の均衡を図るのは人生の宿命ですな。

マーク・ロスコ「Slow Swirl at the Edge of the Sea(海辺のゆっくりした旋回)」

マーク・ロスコ Mark Rothko Slow Swirl at the Edge of the Sea
私はこの絵の絶妙な色合いに惹かれました。何色とも表現し難い中間色が使われています。
この写真の色調は微妙ですが、MoMA公式はきれいですのでぜひ見てみてください。

この絵に描かれているものはまたもや精神世界です。
渦や螺旋のような丸い形状から人のような生き物が2体いる感じがします。
ロスコは「特定の目に見える経験とは直接関係がないが、生物の原理と情熱を認めている」と主張しています。
音楽記号のようなモチーフもありますね、歌って踊っているみたいです。

ウィレム・デ・クーニング「Woman I(女性、私)」

ウィレム・デ・クーニングWoman I Willem de Kooning
すごく狂気的な絵ですね。
フォースを感じて当時の私は思わず写真を撮ったのだと思います。
今、見ると顔怖いです(汗)

彼はこの絵をものすごい時間をかけて完成させたそうです。
旧石器時代〜現代のアメリカの広告までありとあらゆる女性を調査したと。
これまでの女性的な美しさや優美さを否定し、強烈な目力と放漫なボディ、ヌードの女性が現れました。
何度も何度も力強いタッチで塗り直して下層の色が出てきたり、色が絡み合って輪郭や背景が表現されています。
「暴力的だ」とか「時代錯誤だ」とか批評を受けたみたいですが、クーリングは次のように語っています。
「美しさは私にとって勇敢なものです。私はグロテスクが好きですよ。楽しくなる。」
おおおお〜、メタル音楽チックな精神ですね。
闇の中に美を見出しておられる。

個人的には好きですね。
誰かがこのような表現をする必要があったと思います。

ピート・モンドリアン「Broadway Boogie Woogie(ブロードウェイ・ブギウギ)」

Piet Mondrianピート・モンドリアンBroadway Boogie Woogie
ピート・モンドリアンといえば、、、
一度は下のような幾何学模様見たことあるのではないでしょうか。
今見ても、洗練されていてかっこいいグラフィックですよね。
ピート・モンドリアン Piet Mondrian
そして、ご紹介するBroadway Boogie Woogie(ブロードウェイ・ブギウギ)はまさに上から見たニューヨークのストリートを表しています。
珍しく黒が無く、明るい黄色と白が多く使われています。
車のライトや街の明かり、信号機の雰囲気を表しているのでしょうね。
本当に現代的な抽象化の絵です。
スーパーファミコンのゲームのような世界観も私は感じます。
モンドリアンは第2次世界大戦時にニューヨークへ逃れましたが、すっかりニューヨークの街とブギウギ音楽に恋してしまったようです。
ブギウギ音楽のリズムの破壊と外観を抽象化した破壊、この精神がモンドリアンにマッチしていたんですね。

マン・レイ「The Rope Dancer Accompanies Herself with Her Shadows(ロープダンサーは影を伴う)」

マン・レイMan Ray The Rope Dancer Accompanies Herself with Her Shadows
この絵を見たとき一体なんなのか全くわからなかったですよ^^
ただ上に生き物がいるな〜、カラフルなよくわからん形に塗ってある、、、

いやいや、よ〜く見てご覧なさいな。
このカラフルな色の形、上の生命体(綱渡りのパフォーマー:ロープダンサー)の形をくり抜いた残骸部分みたいな形してませんか?
レイは当初、ロープダンサーを切り抜いて配置しようと思っていたのですがしっくりこなかったようで、ふと切り取られた床に落ちている紙が偶然パターン化されている形になっていることに気づきました。
「ロープダンサーが床に落とした影かもしれない!」とレイは直感しこの作品ができたのです。

ロマンチックやな〜〜〜!!
神は細部に宿るのですよ。
1段も、2段も仕掛けがあるおもしろい絵ですよね。
こうして改めて見るとロープダンサーもスター、星のようでかわいいです。
このかわいいロプダンサーがライトに照らされて落とした影の形をこんなふうに表現するなんて、偶然とそれをキャッチできるアンテナを持つレイの奇跡的な作品です。

マルセル・デュシャン「Network of Stoppages(停止原器の網目)」

マルセル・デュシャン Marcel Duchamp Network of Stoppages
この作品は私なりに調べてみましたが、「よくわからない」というのが結論ですm(__)m
まぁ〜地図ですよね。
他の作品とは違う斬新さを感じて当時の私は直感的に写真を撮ったのだと思います。

平面地図のメルカトル図法みたいな緯度と経度が印刷されたシステマチックなカンバスの上に、山脈のような薄っすら何かが描かれています。
でもこれよく見ると、左下に女性の裸体があるんですね。
そんで、油絵具で大胆に登山のルートマップみたいなものが描かれてるんですよ、行き止まりの。
偶然性が含まれている??
タイトルは「停止のネットワーク」ですよ、対義的なものがたくさん入っててわからーん!!
「詳しい方、説明求む」です!!

デュシャン自身は美術の枠を外そうと、かなり挑戦的な芸術活動をしたアーティストでした。
男子の小便器の写真を「泉」として匿名でコンテストに応募したり^^
このNetwork of Stoppagesも相当に当時は最先端だったんでしょうね。

デュシャンの言葉に「みるものが芸術をつくる」というのがあります。
芸術に答えなど無いのだ、、、体験型ワークでこの作品を通して学んだ感じです(疲れたw)
これがデュシャンの意図だったのか?笑

エドワード・ホッパー「Gas(ガスステーション)」

エドワード・ホッパー Edward Hopper Gas
物語の一場面を切り取ったようなアメリカの田舎町のガスステーションて感じで良いですよね。
ホッパーはこのようなステレオタイプで素朴なアメリカのイメージを正確にありのままに描くのが得意です。
この絵は実際にあるガスステーションではなく、ホッパーがこれまで見てきた数々の田舎にある夕暮れ時のガスステーションのイメージを合成したものらしいです。
人工的なガススタンドの光と夕暮れの自然の光、とても優しい雰囲気に包まれた絵で、ホッパーの心の美しさが滲み出ています。

マリア・マーティンズ「The Impossible, III(不可能3)」

マリア・マーティンズMaria Martins The Impossible, III
食虫植物みたいな、すーごいおもしろい彫刻です。
ボトム部分は女性と女性、又は男性と女性の肉体的シェイプです。
この彫刻は誘惑への葛藤を表現しています。
上の尖った部分は惹かれ合ってるけど傷つけ合ってる?「あかん!だめや!」みたいなm(__)m
下の部分はセクシーですね。

マーティンズは「人々が互いを理解するのはほとんど不可能です」と語っています。
うん、よくぞ言ってくれた。
私も、本質的にはそうだと思うんですよ。
家族であっても、恋人であっても、親友であっても、ペットであっても。
互いを理解しようとして歩み寄ることはできるかもしれないけど、相手のことが全て理解できる、ということはあり得ない。
あなたが思っているほど相手はあなたのことを理解してないし、あなたも相手のことを理解していない。
説明しなくてもわかるでしょ?はコミュニケーションにおいて、ナンセンスだなと思うときがあります。

ボブ・トンプソン「St. Matthew’s Description of the End of the World」

ボブ・トンプソン Bob Thompson St. Matthew’s Description of the End of the World
躍動感溢れる絵やわ〜と思ったら宗教画でしたか。しかも世界の終焉。
私のこの辺の宗教観に疎いんですが、元の絵はかなりリアルでシリアスです、気になる方はググってみてください。
しかし、色鮮やかなのがトンプソンワールド!
抽象的にシンプルにカラフルな色で表現しているからこそ伝わるエモい情報があるのかなと思います。
元の絵はそりゃすごいですけど、情報量も半端ない。
こんなふうにまとめあげるトンプソンの絵、いいですね!!

アンドリュー・ワイエス「Christina’s World(クリスティーナの世界)」

アンドリュー・ワイエス Christina’s World Andrew Wyeth
これは確かな画力が無いと描けませぬ。
草、1本1本の繊細さとグラデーションとリアルな1人の女性の描写は鳥肌立ちます。
この女性がすごく痩せこけてるんですよね、どこか悲しげな哀愁漂う絵です。

クリスティーナ(この絵の女性)は病気で足が不自由ながらも車椅子に乗ることを拒否し、地面をはって移動していたそうです。
なるほど、これは正にクリスティーナの世界なのです。
これから彼女は匍匐全身で家へと向かうところなのでしょうか。
淡く優しいピンクのワンピースと枯れ草の大地、彼女の勇気だとか信念、真っ直ぐな精神性を感じます。
彼女の心理的な世界を極限の詳細まで表現している絵ですね。
また、身体的弱者の目線を社会的に訴えるインパクトがあったと思います。

ポール・ゴーギャン「Still Life with Three Puppies(三匹の子犬のいる静物)」

ポール・ゴーギャン Paul Gauguin Still Life with Three Puppies
静物画というのは普通果物とかがおしゃれに並べられていて、それを描きますけど、この絵は子犬という動的な存在がいらっしゃいます。
雪面の上で子犬がミルクを飲んでるのかなと思ったら、白いテーブルクロスがかけられた丸テーブルの上でした。
ちょっとトリックが入ってますよね?

この絵はゴーギャンが友人のゴッホに見せてもらった児童書のイラストと日本画からインスピレーションを得て描いたそうです。
3つワイングラスが並んでいるところに私はファンタジー感を感じます。
本当はこのワイングラスで飲む予定だったんじゃないの?とか、3姉妹が子犬にされてしまったんじゃないの?とか^^
子犬の輪郭がコバルトブルーで描かれているのは日本画の影響でしょうか。
本当に日本人は藍色が好きですよね。そして一番日本人に似合う色だと思います。

パブロ・ピカソ「Girl with a Mandolin (Fanny Tellier)(マンドリンを持つ少女)」

Pablo Picasso Girl with a Mandolin (Fanny Tellier) パブロ・ピカソ
もうね、ピカソの絵はニューヨーク滞在中たくさんのミュージアムで拝見しました。
あー、これはピカソだな、あれ?これも?またピカソ?といった具合で作風の幅も広く神出鬼没なピカソ作品です。
生涯で残している作品数が多いこともありますが、その創作意欲と抽象とキュビズムなど圧倒的な個性は天才です。
作品を作るほどに進化してますよね。

たくさんのピカソの作品の中からこのマンデリンを持つ少女の絵をご紹介します。
ぶっ壊れ過ぎずにちょーど良いキュビ感?立体的で光と影に私は美を感じます。
身体の半分は石になってる感じがしますけどね。
ごちゃってるけど不思議と美しさを感じさせる秘密がこの絵にはあるんですよ。
私には説明できないですけど、さすがバブロ・ピカソです。

ソニア・ドロネー「Portuguese Market(ポルトガル市場)」

ソニア・ドロネー Sonia Delaunay-Terk Portuguese Market
いや、これ、見てるよな、絶対私のこと見てるよな(笑)見れば見るほど顔に見える!
しかもなんなのこの、物干しげな表情は、、、
そのくらい人って「目」に反応するんですかねー。
自然界でも大きな目玉のような模様のカラフルな生物っていますよね。
この絵に出会ったときは、どきっとしました。
この写真は画質が悪いですけど薄っすら右目も描かれているんですよ。
絵自体は普通にポルトガルの市場にある雑貨屋の軒先なんでしょうけど。
脳味噌の認識感覚に刺さる絵ですよね。

本当に良いアートってなんだろう?

ということで、MoMAの作品を一挙にご紹介させていただきました。
他にもMoMAにはたくさんの作品があり、ブレブレ写真もいっぱい撮っていたんですが(笑)けっこう作者が同じだったりで自分の好みを認識することができました。
そして、若いときはフィーリングでなんとなく好きだったアートが、こんなにも思慮深く、おもしろく、刺激的で心を動かすものだとは、再び最新の私はアートに出会うことができて本当に良かったです。
良い、映画や音楽、本は、月日が経ってもまた違う捉え方で楽しめる作品なのではないでしょうか。MoMAにはそんな名作がたくさんあるのがお分かりいただけたと思います。

そして良いアートってただ美しいだけではないんですよね。
ストーリーがあり、新鮮さがあり、驚きがあり、もしかしたらモヤモヤさせるものがある。
本質的な問題提起する、色んな受け取り方がある、常識が変わる。

現代アートは破壊と創造を繰り返してきました。
これからもそれは続くと思います。
人間の本質はとてもクリエイティブなものだからです。

今はなかなかできていないのが現状ですが、これからも芸術に触れる時間をできる限り作っていきたいです。